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T-ch No.1 「CKDってなに?」

CKDはChronic Kidney Disease (慢性腎臓病) の頭文字をとったもので、腎臓の働きが慢性的に低下した、全ての腎臓病を指す言葉です。
具体的には、腎臓の働きが健康な人の60%未満に低下するか、尿検査でタンパク尿などが認められる状態が3か月以上続くことを指します。

CKDは決して特別な疾患ではなく、国内には1300万人以上 (成人の8人に1人の割合) の患者さんがいるものと推定されています。
世界的にも増加傾向にあり、過去30年間で全世界のCKD患者さんが約3割増加した、との報告があります。

CKDが増えている理由として挙げられるのが、高血圧や糖尿病に代表される生活習慣病の増加で、高血圧と糖尿病に慢性腎炎を加えた3つの疾患が、CKDの原因の大半を占めています。特に高血圧が重要で、血圧が上昇すると腎臓の機能は低下しやすくなり、CKDが進むと血圧が上昇する、という悪循環があります。

腎臓は「沈黙の臓器」とも言われています。CKDの症状は進行しないと出現しにくいことから、早期発見のためには尿検査や血液検査を定期的に受けることが大切です。
尿検査では、尿の中にタンパク質や赤血球などがないかを調べます。血液検査では、「クレアチニン」や「シスタチンC」という物質の濃度を測定することで、腎臓の濾過機能の推定値 (eGFR値) を計算します。尿の中に持続的にタンパク尿が認められる場合や、eGFR値が60未満に低下している場合には、CKDとして原因や治療の必要性を評価する必要があります。

腎臓の機能低下が進むと血圧の上昇、むくみ、疲労感、夜間尿 (就寝後にトイレに行く回数が増える)、貧血などの症状が出てきます。
腎臓は心臓や血管の働きとも深く関連していますので、CKDの方では心不全や心筋梗塞、脳血管障害といった重篤な疾患にもかかりやすくなります。

CKDの予防や進展の抑制には、日々の体調管理がとても重要です。ご家庭での血圧や体重の測定によりご自身の普段の値を知っていただくとともに、健康的な食生活と適度な運動を心がけ、日々の生活習慣を整えることが大切になります。肥満に高血圧や糖尿病を合併するメタボリックシンドロームは代表的な生活習慣病ですが、血圧の上昇と血糖値の上昇はどちらも腎臓の働きを低下させる要因となります。CKDは脳心血管病のリスク因子であるため、腎臓を守るための生活習慣は脳や心臓を守ることにもつながります。

CKDの進展を予防するお薬としては、レニン・アンジオテンシン系阻害薬、SGLT2阻害薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬があり、CKDに合併する貧血の治療薬なども開発されています。一度失われた腎臓の機能を元に戻すことは出来ませんが、生活習慣の改善とCKDの治療薬を上手に組み合わせることで、CKDの進行をかなり抑えることができるようになってきています。
ご自身の腎臓の機能について担当の先生と相談していただき、CKDに該当する場合には、お気軽に当院の内科外来へご相談ください。

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内科(腎臓グループ) 教授 柴田 茂

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